猫の6つの領域
猫は、それぞれ特徴の異なる6つの領域をもっていますその模式図です。
猫の6つの領域・模式図
猫の持つ6つの領域模式図~大きいほうから「生活圏」・「縄張り」・「社会的距離」・「逃走距離」・「臨界距離」・「個人的距離」
猫の生活圏
生活圏(せいかつけん)とは、猫が日常的に行き来する範囲のことで、「ホームレンジ」(home range)とも呼ばれます。
猫の縄張り
縄張りとは、自分の匂いを残すことで他の猫が侵入することを積極的に拒む領域のことで、「テリトリー」(territory)とも呼ばれます。
猫は監視できる程度の範囲を縄張りと決めたら、そこを定期的に巡回し、マーキングして歩くようになります。マーキングには通常、「スプレー」と呼ばれる尿が用いられます。これは普通のおしっことは違い、しっぽを高く上げて後方に撒き散らすように排出するおしっこのことです。一方、糞便に関しては、縄張りの辺縁部では隠さずにそのまま残されることがあるといいます。しかしこれが、縄張りを示す目印として機能しているかどうかは、いまだに不明です。なお、室内飼いの猫も縄張りをもっているため、部屋の中でおしっこを撒き散らしてしまうことがあり、飼い主の悩みの種になることもしばしばです。
猫の狭い領域
生活圏や縄張りは、歩き回らなければカバーできないほど広い範囲を指しましたが、以下で解説するのは、それよりも狭い領域です。一つの目安を挙げるとすれば「じっとしているとき、視界に入る範囲」となります。
社会的距離
社会的距離(しゃかいてききょり)とは、部外者が許される限界の距離のことです。「愉快ではないけれども、行動を起こすまでもない」と思える距離に、他の猫がいる状態とも言えます。
逃走距離
逃走距離(とうそうきょり)とは、猫が争いを避けるために逃げ出す距離のことで、「フライト・ディスタンス」(fright distance)とも呼ばれます。通常は2メートル前後ですが、警戒心の強い子猫や母猫ではやや長くなります。
臨界距離
臨界距離(りんかいきょり)とは、攻撃も辞さない距離のことです。猫にとっての第一方針は、「怪我を避けるため、なるべく争わないようにすること」です。しかし、やむをえないと判断した場合は、攻撃に転じることもあります。特に子猫を抱えた母猫では長くなり、かなり離れていても、シャーシャー威嚇しながら攻撃してくる危険性があります。
個人的距離
個人的距離(こじんてききょり)とは、身体的な接触を含めた親密な接近を許す距離のことです。猫をなでることができるようになったら、この「個人的距離」に入れてもらえたということを意味します。
猫の通り道
ある一つの生活圏から外部へと通じる道が「猫の通り道」です。通り道自体が猫の生活圏の一部になっていることもあります。使い方は、優劣を基礎としたものではなく、「早い者勝ち」であることがほとんどです。道の交差地点で出会った猫たちは、どちらかが先に動くのを待って、長い間じっと座っていることもあるとか。